結論
解体工事の見積もりは、最初に総額を比べないでください。先に見るのは、各社が同じ範囲を見積もっているかどうかです。
建物本体の解体だけを入れた見積もりと、塀・庭木・残置物まで入れた見積もりは、そのままでは比べられません。追加費用が生じる条件と、追加前の確認方法も書面でそろえます。
参考料金を公開する会社もありますが、地域相場や確定見積もりとは異なります。2〜3社へ同じ条件を伝え、工事範囲と追加費用の扱いをそろえて比較してください。
2026年9月6日の補足確認では、掲載業者の株式会社健栄の公式料金ページに、建物構造・延床面積別の参考単価と追加費用が発生する条件を確認しました。これは1社の参考料金であり、地域の平均相場や個別の工事金額を示すものではありません。
2026年8月1日の3社調査では、具体的な料金は確認できませんでした
編集部は2026年8月1日、北海道・福岡・大阪の解体業者3社を調べました。会社概要だけではなく、サービス、施工事例、FAQも確認しています。
3社とも、建設業許可などの番号、施工実績、対応する建物の構造は公開していました。一方、坪単価や工事金額の目安は見つかりませんでした。「見積もり無料」という案内だけの会社もありました。
| 公式サイトで確認した項目 | 公開していた会社 |
|---|---|
| 許可・登録の番号 | 3社中3社 |
| 施工実績 | 3社中3社 |
| 対応する建物・工法 | 3社中3社 |
| 具体的な料金 | 3社中0社 |
これは3社だけの調査です。すべての解体業者が料金を公開していない、という意味ではありません。ただし、料金表が見つからないときに、根拠のない相場を置いて判断するのは危険です。
見積額は、建物の構造と広さだけでは決まりません。重機やトラックが入れるか、外構をどこまで撤去するか、石綿を含む建材があるかでも作業が変わります。
最初に「工事の範囲」をそろえる

見積書を受け取ったら、次の項目が含まれているかを1社ずつ確認します。「一式」とだけ書かれた項目は、何を含むのか聞いてください。
| 確認する項目 | 見積書で確かめる内容 |
|---|---|
| 建物本体 | 構造、延床面積、階数、基礎の撤去 |
| 仮設・養生 | 足場、防音・防じんシート、散水、交通誘導 |
| 廃材の処理 | 分別、積み込み、運搬、処分 |
| 外構 | 塀、門、物置、カーポート、庭木、庭石、井戸 |
| 家の中の物 | 家具、家電、衣類などの残置物 |
| 石綿 | 事前調査、分析、除去、運搬・処分 |
| 地中にある物 | 古い基礎、浄化槽、井戸、埋設物が出た場合の扱い |
| 工事後 | 整地の範囲、仕上がり、清掃 |
たとえばA社が残置物の処分まで含み、B社は建物本体だけを見積もっていれば、総額の差だけでは高いか安いかを判断できません。各社の見積書に同じ項目が並んでから、金額を比較します。
見積金額以外の許可、契約、近隣対応も含めた比較方法は、解体業者の選び方7項目で確認できます。
石綿は「調査」と「除去」を分けて見る
建築物の解体では、元請業者または自主施工者が石綿を含む建材の有無を事前に調べる必要があります。解体部分の床面積が80平方メートル以上なら、調査結果の行政への報告も必要です。
出典: 環境省「石綿事前調査結果の報告について」(確認日: 2026-08-19)
見積書では、次の3つを分けて確認します。
- 書面調査と現地調査の費用
- 建材の分析が必要になった場合の費用
- 石綿が見つかった場合の除去・運搬・処分費
調査前は、除去費を確定できないことがあります。その場合は「石綿ありの場合は別途」だけで終わらせず、追加見積もりを出す時点と、発注者の了承を得てから作業することを確認してください。
環境省のマニュアルも、事前調査の結果によって費用や工期が変わり得ると説明しています。契約前に調査するか、結果に応じて変更契約する考え方が示されています。
出典: 環境省「建築物等の解体等における石綿飛散防止対策」(確認日: 2026-08-19)
廃材の行き先と再資源化の費用を見る
建物を壊した後には、木材、コンクリート、金属などの廃材が出ます。見積書では「廃材処分一式」だけでなく、分別、運搬、処分のどこまで含むかを確認します。
国土交通省の民間小規模工事向け標準契約書は、建設リサイクル法の対象工事について、次の内容を書く形になっています。
- 解体工事に要する費用
- 再資源化などに要する費用
- 分別解体などの方法
- 再資源化などを行う施設の名称と所在地
出典: 国土交通省「建設工事標準請負契約約款について」(確認日: 2026-08-19)
標準契約書と同じ形式でなければ契約できない、という意味ではありません。見積もりを比べるときに、解体作業と廃材処理を分けて聞く根拠として使えます。
建設リサイクル法の対象工事では、発注者または自主施工者が工事着手の7日前までに都道府県知事へ届け出ます。届出には建物の構造、工事の工程、分別解体の計画などが含まれます。
出典: 国土交通省「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律・第10条」(確認日: 2026-08-19)
届出を誰が作成し、誰が提出するのかも聞いてください。業者が手続きを代行する場合は、その費用が見積額に含まれるかを確かめます。
追加費用は「発生条件」と「決め方」を書面にする

解体前には見えない地中埋設物や、壁・天井の内部にある建材が工事中に見つかることがあります。追加費用を一切認めない契約にするのではなく、追加するときの手順を決めておくほうが現実的です。
見積書または契約書で、次の4点を確認します。
- 何が見つかったら追加費用になるか
- 写真や数量など、追加の根拠をどう示すか
- 追加見積もりを誰が承認するか
- 承認前に作業を進めるのか、止めるのか
国土交通省の民間建設工事標準請負契約約款にも、工事の追加や変更があった場合に、請負代金額の変更を当事者で協議する条項があります。
出典: 国土交通省「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」(確認日: 2026-08-19)
口頭で了承すると、後で内容を確かめにくくなります。追加工事の内容、金額、工期への影響をメールか変更契約書に残してください。
2〜3社へ同じ条件を送るためのメモ
相見積もりでは、業者ごとに違う説明をすると比較できません。現地調査を頼む前に、同じメモを2〜3社へ送ります。
| 項目 | 伝える内容 |
|---|---|
| 所在地 | 工事場所の住所 |
| 建物 | 構造、階数、延床面積。分からない項目は「不明」 |
| 敷地 | 前面道路の幅、隣家との間隔 |
| 残す物 | 塀、樹木、物置など |
| 撤去する物 | 家具、家電、外構など |
| 手元の資料 | 建物の図面、石綿の調査歴 |
| 予定 | 希望時期と、売却・建て替え・更地保有など工事後の予定 |
延床面積や建物の構造が分からなくても、依頼はできます。「不明」と書き、現地調査で確認してもらってください。分からない数字を推測で入れるより、条件の不確かさを各社へ同じように伝えるほうが比較しやすくなります。
見積書を並べる順序
見積書がそろったら、次の順番で見ます。
- 建物、外構、残置物などの工事範囲をそろえる
- 石綿、地中埋設物など未確定の費用を確認する
- 養生、近隣対応、届出、整地の内容を比べる
- 追加工事の承認方法をそろえる
- 最後に総額と支払条件を比べる
最安の1社を機械的に選ぶための順序ではありません。同じ内容を頼んだときの金額と、工事中に条件が変わったときの扱いを比べるための順序です。
次の一歩
見積もりを頼む前に、候補業者の対応工法と拠点を確認してください。当サイトでは、公式サイトの情報と公的名簿を突き合わせた業者を掲載しています。
古家付き土地の売却を予定している場合は、解体費用を誰が払うかと契約確認項目を売買条件で決めてから、実際の発注者名で見積もりを取ってください。
- 掲載業者から2〜5社を選んで比較する
- 解体工事業登録と建設業許可の違いを確認する
- 解体業者の登録・許可を自分で確かめる
- 解体後の固定資産税を土地と家屋に分けて確認する
- 空き家解体の流れを契約前から工事後まで確認する
- 解体工事の契約書で確認する項目を見る
- アスベスト事前調査と費用の確認方法を見る
- 廃材の処理方法とマニフェストの確認ポイントを見る
この記事の3社調査は2026年8月1日時点、制度情報は2026年8月19日時点の確認です。見積もり条件と手続きは、工事場所、建物、契約内容によって変わります。正式な内容は業者と工事場所の自治体へ確認してください。