結論

千葉県の54市町村を公式ページで1件ずつ確認したところ、住宅や空き家の解体費に補助制度があったのは15市町村でした。

制度のある15のうち13が、工事を請け負う業者に「建設業許可」か「解体工事業登録」のどちらかを求めています。市内・町内の業者による施工を条件とする自治体もあります。

もう1つ、千葉でよく見た制度があります。空き家対策とは別枠の「がけ地近接等危険住宅移転事業」です。老朽空き家向けの制度と勘違いすると対象外になるので、区別して書きます。

54市町村を1件ずつ確認しました

書類に手書きで記入している手元
※イメージ画像

編集部が確認したのは千葉県の全54市町村(37市16町1村)です。民間のまとめ記事ではなく、各市町村の公式ページを開いて制度名・対象・上限額・補助率・交付条件を読みました。確認日は2026年9月です。

結果の内訳です。

  • 解体費の補助制度がある: 15市町村
  • 制度が見当たらない: 37市町村
  • 公式サイト上で確定できなかった: 2市町村(流山市・四街道市)

流山市と四街道市は、民間の解体業者サイトや不動産系サイトに「補助金がある」という紹介が出ています。しかし市の公式ページには、空き家関連の一覧ページにも建築住宅課の業務一覧にも、該当する制度への言及が見つかりませんでした。お住まいの方は市の担当課に直接お聞きください。

上限額は、いちばん高い銚子市・野田市・市川市で100万円、千葉市の通常の上限は20万円でした。ただし、千葉市の住宅除却費補助は旧耐震住宅等の要件があり、密集住宅市街地では上限30万円となります。対象区域と詳しい要件は千葉市の公式案内をご確認ください。銚子市・野田市・市川市の100万円はいずれも上限であって、実際の支給額は費用の2分の1から5分の4という補助率で決まります。

南房総市は、空き家のQ&Aページで「空き家解体費用に関する市の補助金等はありません」とはっきり書いていました。制度がないことを自治体自身が明言している珍しい例です。

15市町村のうち13が、業者に登録か許可を求めています

この調査でいちばんはっきりしたのは、業者の条件でした。制度のある15市町村のうち13が、交付の条件として業者の登録・許可を明記しています。残る2市町村(市川市・鎌ケ谷市)は、編集部が読んだ公式ページの本文では登録・許可の記載を見つけられませんでした。要綱本体に定めがある可能性はあります。

千葉市の公式案内では、市内に本店・支店・営業所などを設け、土木・建築・解体のいずれかの建設業許可、または解体工事業登録を受けた施工者を条件としています。許可・登録だけでなく、市内拠点の有無も確認が必要です。

出典:千葉市「住宅の除却費補助制度」施工者の条件(2026年9月10日確認)。

富里市の交付要綱はもっと細かいものでした。

建設業法別表第1に掲げる土木工事業、建築工事業若しくは解体工事業に係る同法第3条第1項の規定による許可を受けた者

千葉市の公式案内と富里市の交付要綱には、許可と登録の両方が出てきます。解体工事には制度が2つ並んでいるためです。500万円未満の工事を請け負うには「解体工事業登録」、500万円以上を扱うには「建設業許可」が要ります。建設業許可(土木・建築・解体のいずれか)を持つ業者なら、解体工事業登録は不要です。工事を請け負うための許可・登録と、補助金の施工業者要件は分けて確認してください。必要な許可業種、法人かどうか、市内拠点の有無などは自治体ごとに異なります。番号の確認だけで補助対象になるとは限りません。

名簿の探し方と、登録・許可のどちらを確認すべきかは、解体業者の登録・許可を自分で確かめる方法でまとめています。

地元の業者に限る市町村もあります

夕暮れの住宅街に立ち並ぶ木造の家々と電線
※イメージ画像

登録・許可に加えて、市内・町内の業者による施工を条件とする自治体もあります。

香取市の危険空家除却工事補助では、市内に本店・支店・営業所があり、建設業法上の解体工事業の許可を受けた法人による施工が対象です。これは補助金の施工業者要件であり、解体工事業登録そのものを市内業者に限定する説明ではありません。

出典:香取市の公式案内・交付要綱第2条第4号(2026年9月10日確認)。

睦沢町も同じ形です。

建設業の許可を受けた町内業者又は建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の規定による解体工事業者の登録を受けた町内業者

千葉市・野田市も、登録・許可に加えて市内業者であることを求めています。一方で船橋市・松戸市・成田市・旭市・君津市・富里市・山武市は、登録・許可だけを条件にしていて、市外の業者を排除していません。地元業者への限定は千葉県内でも一部にとどまっています。

がけ地近接等危険住宅移転事業は、老朽空き家向けではありません

千葉県の調査で埼玉県と違ったのは、鴨川市・袖ケ浦市・長南町の3市町にあった「がけ地近接等危険住宅移転事業」です。

この制度は、がけ地の崩壊で危険な区域にある住宅を、居住したまま移転してもらうための国・県の制度を市町村が実施しているものです。鴨川市の交付要綱では、対象者に「当該危険住宅に居住していること」という条件が付いていました。

空き家になった老朽住宅を解体したい方が使える制度ではありません。放置された空き家の解体を検討している方は、この3市町では対象外と考えたほうが確実です。今回の集計「制度がある15市町村」からも、この3市町とほかに同種の限定がある2市(市原市・浦安市)は除きました。

申請の前に確認する4つ

1. 契約より先に申請する

制度のある15市町村のうち14が、交付決定前の着工を対象外と明記しています。成田市の書き方が分かりやすいので引用します。

空家除却工事の契約締結前に、交付申請書を市長へ提出する必要があります

見積もりを取る、申請する、交付決定を受ける、それから契約する。この順番です。松戸市は事前調査申請、木更津市は市職員による空家調査まで求めます。

2. 業者の登録・許可を先に確かめる

契約してから条件を満たさないと分かっても、順番を戻せません。見積もりを頼む段階で、登録番号か許可番号を聞いてください。富里市は申請書類に「建設業法の許可証の写し又は解体工事業者の登録を受けた写し」の添付を求めています。業者が番号を出せるかどうかは、契約前に分かる材料です。

3. 建物の条件を読む

多くの自治体が対象を絞っています。1年以上使われていないこと、特定空家等に認定されていること、といった条件です。成田市・富里市・香取市・山武市のように「特定空家等」の認定を要件にする自治体もあります。制度名に「空家」と付いていても、住んでいる家の建て替えは対象外のことがあります。

4. 受付状況を確認する

2026年9月10日に確認した千葉市の公式案内では、2026年度の受付は終了しています。ほかの自治体の受付状況は、それぞれの公式案内で確認してください。

千葉県の調査では、予算到達や募集件数到達で受付が終了している例が目立ちました。銚子市は募集件数5件に達して受付終了、木更津市と山武市は予算額到達で申込終了、鎌ケ谷市は11月末で受付終了です。申請を考えている方は、まず市町村の窓口で今年度の受付状況を確認してください。

補助金の額より、業者選びのほうが効くこともあります

補助率2分の1の制度では、工事費が下がればその分だけ自己負担も下がる計算になります。上限に届いていない金額帯なら、業者選びのほうが補助金より効くこともあるでしょう。

一方で、解体費用の相場は公開されていません。編集部が掲載業者の公式サイトを確認した範囲でも、料金表を出している業者は見つかりませんでした。建物の構造・立地・付帯工事で金額が変わるためです。だからこそ複数の業者から同じ条件で見積もりを取ってください。

このサイトは、千葉県の解体工事業登録簿と建設業許可業者名簿に照らして、登録・許可を確認できた業者だけを掲載しています。自治体が交付条件にしているものと同じ書類を、こちらでも確認しています。

補助金の有無だけでなく、解体後の税負担も事前に確認してください。土地と家屋の違いは、空き家を解体すると固定資産税はどうなるかで解説しています。

補助金を確認した後の見積もり、契約、届出、工事後の手続きは、空き家を解体する流れで順番にまとめています。

この記事の情報は2026年9月時点で各市町村の公式ページを確認したものです。制度は年度で変わり、予算に達した時点で受付を終える自治体もあります。申請の前に、お住まいの市町村の公式ページで最新の条件をご確認ください。