結論

埼玉県の63市町村を公式ページで1件ずつ確認したところ、住宅や空き家の解体費に補助制度があったのは32市町村でした。

制度のある32のうち24が、工事を請け負う業者に「建設業許可」か「解体工事業登録」のどちらかを求めています。業者の選び方を間違えると、制度があっても補助を受けられません。

もう1つ、ほぼ全ての自治体に共通するルールがあります。交付決定より前に契約や着工をすると対象外になります。

63市町村を1件ずつ確認しました

編集部が確認したのは埼玉県の全63市町村です。民間のまとめ記事ではなく、各市町村の公式ページを開いて制度名・対象・上限額・補助率・交付条件を読みました。確認日は2026年8月5日です。

結果の内訳です。

  • 解体費の補助制度がある: 32市町村(20市・12町村)
  • 制度が見当たらない: 30市町村
  • 公式サイト上で確定できなかった: 1市(草加市)

草加市は「制度がない」と判断していません。ブロック塀の撤去補助は確認できましたが、住宅の解体費補助を本文中で見つけられませんでした。お住まいの方は市の担当課に直接お聞きください。

上限額は、いちばん高い川島町で100万円、いちばん低い宮代町で15万円でした。中心帯は上限20万〜30万円・補助率2分の1から3分の1です。宮代町の15万円は「特定空家等」の認定を受けた物件が対象で、認定という関門がある代わりに額を抑えた設計です。

32市町村のうち24が、業者に登録か許可を求めています

机の上の書類にペンで記入している手元
※イメージ画像

この調査でいちばんはっきりしたのは、業者の条件でした。制度のある32市町村のうち24が、交付の条件として業者の登録・許可を明記しています。残る8市町村は、編集部が読んだ公式ページの本文では登録・許可の記載を見つけられませんでした。要綱に定めがある可能性はあります。

熊谷市の要綱にはこう書かれています。

建設業の許可(土木、建築又は解体)又は建設リサイクル法に基づく解体工事業者の登録を受けた者が請け負う工事であること

上尾市の書き方はもっと細かいものでした。

建設業法に基づく土木工事業、建築工事業若しくは解体工事業のいずれかの業種の許可を受けた事業者又は建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に基づく県知事による登録を受けた事業者が行う工事

どちらの要綱にも許可と登録の両方が出てきます。解体工事には制度が2つ並んでいるためです。500万円未満の工事を請け負うには「解体工事業登録」、500万円以上を扱うには「建設業許可」が要ります。建設業許可(土木・建築・解体のいずれか)を持つ業者なら、解体工事業登録は不要です。自治体の要綱は、この両方を認める書き方でそろっていました。

読者から見れば、どちらか一方を確認できれば条件を満たすことになります。

名簿の探し方と、登録・許可のどちらを確認すべきかは、解体業者の登録・許可を自分で確かめる方法でまとめています。

地元の業者に限る市町村もあります

登録・許可に加えて「市内(町内)の業者であること」まで求める自治体がありました。

いちばん厳しいのは神川町です。

建設業法の許可を受けた町内業者又はリサイクル法の登録を受けた町内業者が行う工事であること

川口市は「市内に本社を有する事業者」、久喜市は「市内に本店又は営業所を有する事業者」と登録・許可の両方を求めています。越谷市は市内事業者以外との契約を対象外としています。

ただし、これは少数派です。秩父市・東松山市・坂戸市・小鹿野町・皆野町・毛呂山町・寄居町・東秩父村などは別の設計でした。地元業者に頼んだ場合に上限額を加算する形で、市外の業者を排除してはいません。町村部を中心に、地元発注のインセンティブが広く制度に組み込まれています。

行田市は一歩踏み込んでいます。市が「事業者を選ぶ際の参考として」市内の建設業者名簿を作り、公開していました。載るのは建設業の許可か解体工事業の登録を持つ事業者です。ただし掲載を希望した事業者だけの名簿なので、載っていない業者に問題があるわけではありません。

申請の前に確認する4つ

1. 契約より先に申請する

制度のある32市町村のうち29が、交付決定前の着工を対象外と明記しています。行田市の書き方が分かりやすいので引用します。

工事の契約は補助金の交付決定後に行ってください(交付決定前に工事の契約を行うと、補助が受けられなくなりますのでご注意ください)

見積もりを取る、申請する、交付決定を受ける、それから契約する。この順番です。熊谷市・久喜市・上尾市・美里町などは事前相談や老朽度の判定まで求めます。美里町は「工事着工の30日前まで」と期限を明示しています。

2. 業者の登録・許可を先に確かめる

契約してから条件を満たさないと分かっても、順番を戻せません。見積もりを頼む段階で、登録番号か許可番号を聞いてください。申請書類に「建設業許可証又は建設リサイクル法第23条第2項の規定による通知の写し」の添付を求める自治体があります(行田市)。業者が番号を出せるかどうかは、その時点で分かります。

3. 建物の条件を読む

多くの自治体が対象を絞っています。1年以上使われていないこと、昭和56年5月31日以前の建築であること、市の基準で危険と判断されたこと、といった条件です。宮代町のように「特定空家等」の認定を要件にする自治体もあります。制度名に「空き家」と付いていても、住んでいる家の建て替えは対象外のことがあります。

4. 所得や世帯の条件がないか

蕨市は今回の63市町村で唯一、所得制限を設けていました。深谷市は住民税非課税世帯に限って上限を80万円に引き上げています。富士見市には、解体後に上がった固定資産税の増額分を別に補助する仕組みもありました。

土地と家屋で扱いが異なるため、解体前に空き家を解体すると固定資産税はどうなるかも確認してください。

補助金の額より、業者選びのほうが効くこともあります

解体後の更地と、隣の建物との境に残る壁
※イメージ画像

補助率2分の1の制度では、工事費が下がればその分だけ自己負担も下がる計算になります。上限に届いていない金額帯なら、業者選びのほうが補助金より効くこともあるでしょう。

一方で、解体費用の相場は公開されていません。編集部が掲載業者の公式サイトを確認した範囲でも、料金表を出している業者は見つかりませんでした。建物の構造・立地・付帯工事で金額が変わるためです。だからこそ複数の業者から同じ条件で見積もりを取ってください。

このサイトは、埼玉県の解体工事業登録簿と建設業許可業者名簿に照らして、登録・許可を確認できた業者だけを掲載しています。自治体が交付条件にしているものと同じ書類を、こちらでも確認しています。

この記事の情報は2026年8月5日時点で各市町村の公式ページを確認したものです。制度は年度で変わり、予算に達した時点で受付を終える自治体もあります。秩父市のように、確認した時点で今年度の受付が終わっていた例もありました。申請の前に、お住まいの市町村の公式ページで最新の条件をご確認ください。