結論

解体工事の業者に登録や許可があるかどうかは、都道府県が公開している名簿で誰でも確かめられます。

ただし名簿の出し方は都道府県ごとにばらばらです。編集部が47都道府県を1つずつ開いたところ、オンラインで名簿を確認できたのは43都道府県でした。残る4県は窓口に行くか、名簿の掲載自体を見つけられませんでした。

もう1つ大事なことがあります。解体工事の資格は2つあり、名簿も別々です。片方の名簿に載っていないからといって、その業者に問題があるとは限りません。

47都道府県の名簿を1つずつ開きました

編集部が確認したのは47都道府県の公式サイトです。まとめ記事ではなく、各都道府県のページを開き、名簿のファイルを実際にダウンロードして中身を読みました。

結果の内訳です。

  • 名簿をオンラインで確認できた: 43都道府県
  • 窓口での閲覧のみ: 1県(茨城県)
  • 名簿の掲載を見つけられなかった: 3県(山口県・愛媛県・長崎県)

茨城県はページ本文にこう書かれています。

解体工事業者登録簿は、茨城県土木部検査指導課、水戸市、日立市、土浦市、古河市、高萩市、北茨城市、取手市、つくば市、ひたちなか市で閲覧することができます

山口県・愛媛県・長崎県は、登録制度の説明ページと申請書はありました。名簿の一覧へのリンクだけが見当たりませんでした。編集部が見つけられなかっただけの可能性もあります。お住まいの県の担当課にお聞きください。

ファイルの形式もそろっていません。43都道府県のうち31府県はPDFのみでの公開でした。表計算ファイルで出しているのは、確認できた範囲で岩手・宮城・山形・福島・栃木・埼玉・神奈川・石川の8都県です。CSVで出しているのは秋田県だけでした。

archiveと書かれた保管箱が両側の棚に並ぶ書庫の通路

名簿のリンクは変わります

調べていて実務的に困ったのが、名簿ファイルのURLでした。

編集部は2026年8月8日に神奈川県の建設業許可業者名簿を取りに行きました。数日前に控えていたURLは404でした。ファイル名が `r0806`(令和8年6月末)から `r0807`(同7月末)に変わっていたためです。

同じことが他の県でも起きています。兵庫県はファイル名が月ごとに変わり、旧URLは404になります。京都府も更新のたびにファイル名が変わっていました。東京都は日付ですらなく、更新のたびに変わる長い識別子がURLに入っています。

逆のパターンもありました。鳥取県は日付の入らない固定URLがありますが、その中身は2021年の古い版のまま置かれていて、実際の最新版は日付入りの別URLでした。

読者の側でできる対策は1つです。去年ブックマークしたリンクを開かず、県のトップから「解体工事業 登録」で辿り直してください。

滋賀県の例も付け加えます。ページには「4箇月に1回程度更新予定」と書かれていますが、編集部が確認した時点で公開されていたPDFは令和6年11月30日時点のものでした。約1年9か月前です。更新頻度の記載と、実際の更新は別物です。

登録簿に載っていない=問題がある、ではありません

ここがいちばん誤解しやすいところです。

解体工事を請け負うために必要な資格は2つあり、金額で分かれています。

  • 500万円未満の工事を請け負う: 解体工事業登録
  • 500万円以上を扱う: 建設業許可(土木・建築・解体のいずれか)

そして建設業許可を持っている業者は、解体工事業登録が要りません。つまり建設業許可で仕事をしている業者は、解体工事業登録簿には載りません。

登録簿だけを見て「この業者は載っていないから無登録だ」と判断するのは、制度を取り違えています。名簿は2つあり、どちらか一方に記載があれば公的な確認は取れています。

府県側もこの点に釘を刺しています。兵庫・岡山・佐賀・大分・熊本などの名簿ページには、次の趣旨の注記が共通して見られました。

この一覧表はあくまで参考資料であり、登録があることの証明にはなりません。一覧に掲載されていても、廃業・取消・抹消の場合があります

名簿は「この時点でこう記載されていた」という記録です。証明書ではありません。

富士山を望む日本の郊外の住宅と農地

名簿は「その県にある業者」の一覧ではありません

編集部が名簿を機械的に読んで、はっきりした数字が出ました。

東京都の解体工事業者登録一覧は、令和8年度6月末時点で2,332件です。編集部が読み取れた2,320件のうち、所在地が東京都外の業者は1,342件でした。全体の57.8%です。内訳は埼玉県737件、神奈川県356件、千葉県191件でした。

神奈川県も同じ形です。1,540件のうち県外所在が818件で53.1%。埼玉県375件、東京都335件と続きます。

解体工事業登録は「工事をする都道府県ごと」に受けるものです。だから隣県の業者が名簿に並びます。名簿はその県で工事ができる業者の一覧であって、その県にある業者の一覧ではありません。

裏を返せば、県境をまたいで頼める業者は名簿から探せます。ご自宅が県境に近い場合、隣県の名簿も見てみてください。

自分で確認する4つの手順

1. 業者から番号を聞く

見積もりを依頼する段階で、登録番号か許可番号を聞いてください。どちらか一方で構いません。公式サイトの会社概要に書いてある業者も多くあります。

編集部が今回、公式サイトを持つ解体業者を集めて名簿と突き合わせ、掲載できると判断した36社のうち、27社が自社サイトに番号を載せていました。載せていない業者に問題があるわけではありませんが、載っていれば確認が早く済みます。

2. 都道府県のページから名簿を開く

「(県名) 解体工事業 登録」で検索して、県の公式ページから名簿ファイルを開きます。ブックマークではなくトップから辿ってください。理由は前述のとおりです。

建設業許可のほうは「(県名) 建設業許可業者名簿」で探します。

3. 番号だけで判断しない

番号が一致しただけで安心しないでください。商号・所在地もあわせて確認します。編集部の調査では、公式サイトの所在地が名簿と食い違う業者が複数ありました。多くは移転が名簿に反映されていないケースです。

番号・商号・所在地の3つがそろって初めて、その番号がその業者のものだと言えます。

4. 名簿の基準日を見る

名簿には必ず「令和8年6月末現在」のような基準日が書かれています。この日付より後に廃業や取消があっても、名簿には反映されていません。基準日が古い名簿ほど、この差は大きくなります。

名簿には向き不向きがあります

念のため書いておきます。名簿で分かるのは、その時点で登録や許可の記載があったかどうかだけです。

工事の腕前も、見積もりの妥当さも、近隣への配慮も、名簿には書かれていません。名簿の確認は業者選びの最初のふるいであって、これだけで決めるものではありません。

名簿確認の次に比較する項目は、解体業者の選び方7項目にまとめています。

解体費用の相場も公開されていません。編集部が掲載業者の公式サイトを確認した範囲でも、料金表を出している業者は見つかりませんでした。建物の構造・立地・付帯工事で金額が変わるためです。複数の業者から同じ条件で見積もりを取ってください。

次の一歩

このサイトは、上に書いた確認作業を編集部が代わりに行っています。都道府県の解体工事業登録簿と国土交通省の建設業許可情報に照らして、番号・商号・所在地の3点が一致した業者だけを掲載しています。確認できなかった業者は掲載していません。

この記事の情報は2026年8月8日時点で各都道府県の公式ページを確認したものです。名簿の公開場所・形式・更新頻度は変わります。確認の際は、必ずお住まいの都道府県の公式ページで最新の情報をご覧ください。